腱板損傷について

~四十肩?我慢していれば治る?いいえ治りません~

☆腱板損傷とは

 腕を上げると肩が痛い、または痛みで腕が上がらない。周りの方でもよく聞きませんか?

 四十肩?五十肩?様子を見ても治らない。このような訴えで受診される方に良く見られるのが「腱板損傷(けんばんそんしょう)」です。

 肩の先端部分にある筋肉の事を「腱板」を言いますが、この腱板が何らかの原因によって損傷を受けると腕を上げる際に痛んだり、上げづらくなったりします。また、完全に切れてしまった場合は腕が上がらなくなります。

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☆腱板損傷の原因は?

 大部分が繰り返しかかる負荷により損傷を起こします。雑巾がけをした、筋トレで何度も腕を動かした、繰り返し手を上げ下げした・・などです。

 また、転倒して肩や手を衝いた際にも損傷します。老化によって自然に痛んだり切れてしまうこともあります。

 

 

☆四十肩、五十肩とは違うのですか?

全く別の症状です。現れる症状も違うのですが、患者さんにとって一番の違いは、我慢していても絶対に治らないというところです。自己判断せずにきちんと医療機関を受診しましょう。

 

 

☆腱板損傷の症状

①手は上がるのだが、上げる途中が痛い。挙げきってしまうとかえって痛くない。

②遠くのものを取ろうとすると痛い。

③腕を上や横に挙げた際に肩の外側が痛い。

④腕を後ろに回すと痛い。

⑤痛む側に肩を下にして寝ると痛い。

 

 

☆腱板損傷の検査

 まず、各種の徒手検査にて判断します。腱板はレントゲンを透過してしまうため、レントゲン検査では損傷の状態はわかりません。よって損傷した腱板の状態を確認するためには、MRIやエコーによる検査が必要になります。当院ではエコーによる検査を行っております。

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腱板損傷のMRI画像

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腱板損傷のエコー画像

 

 

☆腱板損傷の治療

 治療は、損傷の程度・年齢・職業などを考慮して行います。

物理療法:痛みに対して、または損傷の修復を助けるために電気治療やアイシング、温熱療法、マッサージなどを行います。

運動療法:ストレッチ、リハビリ、筋力強化等、運動にて組織の修復や機能を高めていきます。

固定:急性期や損傷がひどい場合は腱板に負担をかけないために三角巾で腕を吊ることもあります。

 

 

☆どれくらいで治りますか?

 怪我での損傷の場合はおよそ3週間ほど。

 徐々に痛みが出たものは1か月~6か月と幅が広くなります。元々使い過ぎで痛みが出たものなので、仕事などで遠慮なしに手を使っていると長くかかります。治療には患者さん自身の協力や心がけも必要になってくる症状なのです。